京風手事物。松浦検校作曲。 源氏物語の宇治十帖の浮舟物語を簡潔にまとめたものです。浮舟物語とは、浮舟が真面目な薫大将から華やかな匂宮に気持ちが移り、「小島ヶ崎」にて愛を誓うものの、関係が破綻して、宇治川に身を投げるという章節です。結局、浮舟は死に切れずに静かな「小野の山里」にて仏門に入り暮らします。 手事は宇治川の波を描写していますが、宇治十帖最終巻の題名「夢浮橋」にちなんで、夢の中の浮橋を必死に渡る様子を映したものとも思われます。 歌詞の最後は、昨日のように生々しく胸を打つ、過去を振りほどき、我に返って仏門に帰依しようとする浮舟の心情を歌っています。
【歌詞】
まめ人の、心の薫り忘れねど、[合] 色香もあやに咲く花の、[合]
徒し匂ひに[合]ほだされて、[合] つつましき[合]名も橘や、
小島が崎に誓ひてし、[合]その浮舟の行方さへ、 いざ白波の音凄き。 [手事]
身も宇治川の藻屑とは、 なりも果てなで世の中の、 夢の渡りの浮橋を、
たどりながらも契りあれや、 すずしき道に入れんとて、 現に返す小野の山里。
【その他の演奏形式】
二重奏(三絃・尺八)~https://youtu.be/eOH1HxmzQsM
二重奏(三絃・箏)~https://youtu.be/gKEg6qKiEts
三重奏(三絃・箏・尺八)~https://youtu.be/MPCIdqtStNI
三重奏(三絃・箏・尺八)~https://youtu.be/2t2bhyLTwwY