手事物。峰崎勾当作曲。 大阪宗右衛門町松屋某の女が、若くして没したのを追善して作られたもので、法名の「残月信女」にちなんで曲名が付けられました。手事部に比重があるが歌の部分も歌意の表現とフシの技巧との双方において、難曲・大曲と言えます。若くして早世した女性の命の儚さを、月の明かりをモチーフに追善し、慰める名曲です。
【歌詞】
磯辺の松に葉隠れて、(合) 沖の方へと入る月の、光や夢の世を早う。(合)
覚めて真如の明らけき、(合) 月の都に住むやらん。 (手事)
今は伝てだに朧夜の、(合) 月日ばかりは廻り来て。
【現代意訳】
海辺に生える松林の葉に隠れながら、 沖の遠く水平線に消え入る月の、かすかな光は、
あっという間に過ぎてしまった夢のような日々に似ている。
目覚めると真実は明らかになっている、 もうあなたは天国のあるという月の世界にいるのだ。
だから、今夜のようなおぼろ月では伝えさえない、 静かに月日ばかりが過ぎていくのだ。
【その他の演奏形式】
二重奏(三絃・尺八)~https://youtu.be/8rzBjUUisUg
二重奏(三絃・箏)~https://youtu.be/pAhXZ5Ix_hs
三重奏(三絃・箏・尺八)~https://youtu.be/9Czb_ApAKvI