地歌。手事物。光崎検校作曲。皆川淇園作詞。慕う相手の男性に恋文を送ってみても一向に返事がなく、その片思いの情の恥ずかしさや惨めさに、夜毎、星を眺めていたずらに過ごしていたが、その泪を硯に溜めて、その泪で墨を磨り、もう一度手紙を書いてみようという女性の心境を歌ったものです。次々と浮かぶ哀切なイメージを具象化し、片思いの恋を詩的に表現した名作と言えます。作詞者皆川淇園は、当時京都で、弘道館を設立した大儒学者でした。
【歌詞】
玉櫛笥 再び三度 思う事 思うがままに 書きつけて 見すれど海女の
潜き(かずき)して 刈るちょう底の 海松布(みるめ)にも 触れぬを痛み
頼みにし 筆にさえだに 恥ずかしの 軒の葱(しのぶ)に 消えやすぎ 露の身にしも
ならまほし ならまく星の 光すら [手事] 絶えて文(あや)なく なるまでも
八夜九夜と 思い明かし 雲井を眺め 術(すべ)を無み
袖の雫の 堰き入るる 硯の海に 玉や沈めん
【その他の演奏形式】
二重奏(三絃・尺八)~https://youtu.be/v0JicpXUFu0
二重奏(三絃・箏)~https://youtu.be/0z3hWw2G3O0
三重奏(三絃・箏・尺八)~https://youtu.be/ppb1B94nBi4
三重奏(三絃・箏・尺八)~https://youtu.be/h2MS4HxkEjM