地歌、手事物。松浦検校作曲。「松浦四つ物」の一つ。四季折々の風物を取り上げ、その移り変わりを歌っています。各季節を一章とし切れ目ごとに短い間奏を入れ、また、春秋冬では共に「~面白さ」という文句で結びを整えたり、「ゆらりゆらり」「ちらりちらり」などの情景の動きの俗言も入れたりして、凝った工夫の叙事詩です。
【歌詞】
梅の匂ひに柳もなびく、春風に、桃の弥生の花見て戻る、ゆらりゆらりと夕霞、
春の野がけに芹蓬、摘みかけたる面白さ。[合] 里の卯の花田の面の早苗、色見えて、
茂る若葉のかげ訪ひ行けば、まだき[合]初音の山ほととぎす、ひと声に、[合]
花の名残りを忘られて、家土産に語らばや。[手事]
草葉色づき野菊も咲きて、秋深み、野辺の朝風つゆ身に沁みて、ちらりちらりと村時雨、
よしや濡るとも紅葉葉の、染めかけたる面白さ。[合]
野辺の通ひ路人目も草も、冬枯れて、
落葉しぐるる木枯の風、峯の炭がま煙も淋し、降る雪に、
野路も山路も白妙に、見渡したる面白さ。
【その他の演奏形式】
二重奏(三絃・尺八)~https://youtu.be/vMif-TxoK3c
二重奏(三絃・箏)~https://youtu.be/i_YE3dYVdeM