地歌。端唄物。城志賀(1670?~)作曲。二上り端歌物といわれる三味線の組歌です。詞章は、京都の禁裏に伺候した大和万歳の「柱建」 「えびす舞」「京之町」などの各種の万歳歌をつないだものです。にぎやかな旋律で、義太夫節その他の三味線音楽に「万歳物」として色々に取り入れられています。万歳とは、正月などにまわってくる「三河万歳」や「大和万歳」などの祝福芸であるが、これは元々「千秋万歳」といって宮中で行われていたものです。
【歌詞】
徳若に御万歳と御代も栄ゑまします 愛嬌有ける新玉の年立返る朝より 水も若やぎ木の芽も咲き栄ゑけるは 誠に目出度候ひける [合]
京の司は関白殿 下り居の帝 日の本 内裏 王は十善 神は九善 万やすやす浦安が 此許(木の本)にて 正月三日 寅の一点に 誕生まします若恵比須 商ひ神と祝はれ給ひて 商繁昌と守らせ給ふは 誠に目出度候ひける [合]
野師め(八瀬女)野師め 京の町の野師め 売たる物は何々 大鯛小鯛 鰤の大魚 あはび 蠑螺 蛤子 蛤子 蛤々 蛤めさいなと 売たる者は野師め そこを打過ぎそばの店見たれば 金襴緞子 紗綾 緋縮緬[合]
繻子 緋繻子 縞繻子 繻珍 種々(いろいろ) 結構に飾り立てて候ひしが 町々の小娘や お年の寄たる姥たちまで ゆきこう有様は 実にも治まる御代なり時なり 恵方の御蔵にずっしりずっしり[合]
寶(たから)も治まる 門には門松 背門(瀬戸)には背門松 そっちもこっちも幾年のお祝ひと 御代ぞ目出度き